もう誰も見てないと思いますが、おひさしぶりです。
リネぜんぜんやってませんが、生きています。リネをあんまりやらなくなってしまったのはいろいろとあるんですが、リネやるとキーボードがしばらく死んでしまうというわけのわからない症状もあります。
さてさて、最近話題の《トランス脂肪酸》について、ちょっと思うところがあるので、書き書きします。(これと関係している業界で仕事しているので、だいたい理解しています)
まず、トランス脂肪酸ってなんだって話ですが、世間一般で流布されている疑問点から考えます。
1、トランス脂肪酸は何に含まれるの?
一般的には水素添加されたマーガリン・ショートニング。バター、チーズなどの乳製品、牛肉など。
またはこれらを利用した加工品。たとえば、パン、ケーキ、クッキー、アイスなど。脂肪が含まれる食品に入っている可能性は高いと思ってください。
2、トランス脂肪酸をとるとどうなるの???
たくさん摂取すると、心臓病などの心疾患のリスクを高めるというデータ(マウス実験や疫学調査など)があります。その疫学調査(疫学調査とは、簡単に言えばアンケート調査の高度なものと思ってください)について、今まで学会発表で聞いたことあります。その疫学調査はアメリカの調査なのですが、そもそも普通の食事での脂肪摂取が多すぎてトランス脂肪酸云々は関係ないんじゃと思わせるような内容でした・・・。(毎日油であげたポテトフライをばかばか食ってたら、そりゃ病気になるだろ。)
個人的にはトランス脂肪酸をどれくらい取ったら駄目なのかを考えるより、1日の食事で脂肪は取りすぎていないかを考えるべきかと。
3、マーガリンなどはトランス脂肪酸の塊みたいに聞いたけど???
結論としてはマーガリンだからといって必ずしも多いわけではないです。(ショートニングしかり)。マーガリンなどのほうがバターよりもトランス脂肪酸少ない可能性のものもあります。
マーガリンなどでトランス脂肪酸が多い場合は水素添加された油で作られたマーガリンです。
たとえば、みなさんが知っているサラダ油。主に中身はナタネ油とか大豆油になります。この液状油に水素を添加(高温・高圧にする)すると、液状油が固体油脂となります。これが水素添加です。この固体油脂にはトランス酸は多いです。
だから、むしろバターのほうがトランス脂肪酸多い可能性あります。
4、3の話だとマーガリンはやっぱりトランス脂肪酸の塊じゃ?(固体だし)
まず、たいていのマーガリンは植物油からできています。
みなさんのイメージだと、植物系の油は液体と思っている方が多いと思いますが、常温でほぼ固体の油にパーム油というのがあります。ほぼ固体というのは、液体部分と固体部分もあるので、それをうまく分別して液体・固体に分けることあります。(液体部分をパームオレイン。固体部分をパームステアリン)。これらの油をうまく使えばトランス酸フリーなマーガリンが作れます。
そんなにトランス脂肪酸が気になるならパーム系の油を使っているマーガリンを使うのがよいかと思います。(現在の日本ではトランス脂肪酸の表示はないので、原料見てパーム使ってるかを判断)
5、てか、マーガリンって何よ。これって体に悪いんじゃないの???
マーガリンは簡単に言えば油と水を急速に冷却して乳化させたものです。乳化とは簡単に言えば本来混ざらないものが混ざった状態になることです。
たとえば、マヨネーズ。
原料は《油》、《卵》、《酢》です。酢は水だと思ってください。油と水を混ぜても一瞬は混ぜ合わせても、すぐに油と水で分かれてしまいます。しかし、卵を入れることによって、油と水が一体になります。これは卵に乳化作用(卵中に含まれるレシチンなどの作用)があるからです。
マーガリンも本来混ぜあわない油と水を乳化剤(たとえば、大豆中に含まれるレシチンを単離して、そのレシチンを乳化剤として使ったりする)を入れて急速に冷やしながら練るとマーガリンができます。
バターは生クリームを振り混ぜるだけで作ることができますが、生乳中には水や油、乳化剤成分となるものがあるのでそうするだけでできちゃいます。
(なお、乳化にはW/O型とO/W型があります。)
6、マーガリンとかショートニングを外において2,3週間立ってもカビ生えないし、虫さえわかないけど。これって、カビとか虫は本能的に危ないってわかってるからじゃ?バターはすぐカビ生えるし、虫わくから安全だとおもうけど。
この問題を考えるにあたって、サラダ油ってそのへんに放置しとくとどうなりますか?カビ生えますか??虫わきますか??
そもそもカビが生えるのには《水》や《糖類》などが必要です。だから、サラダ油はカビ生えません。糖類じゃないので虫は食べません。(私がみるかぎり、カラスはよくゴミ捨て場にたまった油やマーガリンを飲んだり食べたりしてます)
で、マーガリンは水を使ってるわけですが、ポイントは乳化状態にあります。マーガリンは基本的にW/O型といいまして、要は油の中に水が内包されています。つまり、カビを生やそうにも使う水が油の中にあるので生えないのです。
バターがカビ生えやすいのは乳化がマーガリンなどと比べたら比較的弱い場合が多いので乳化が崩れやすいのです。(もしくはバターのほうが融点が低い場合が多いので、常温でもとけやすい)
なので、マーガリンもものによってはカビが簡単に生えます。
また、菓子パンの中には甘いクリームとか入ってますが、あれもマーガリンの仲間なのですが、ああいうのはすぐにカビが生えます。
最後に。この問題について、色々とネットの書き込みとか見ると事実が多いんですが、かなり誤解を与える情報が多いです。デマっぽい内容も多いんですが、事実なんだけど書き方がなぁってのも多いです。個人的にはこの問題に対して《バランスよくいろんなものを食べましょう》とだけ言いたいです。ひとつの種類をたくさん取れば体にいいものってないはずです。
さて、
下記に事実のみを提示したとしても、その提示の仕方によっては聞き手の認識を誤った方向に誘導することができることを示す例を出してみます。
みなさん、DHMOの恐怖知っていますか??
(1)酸性雨の主成分であり、温室効果を引き起こすことも知られている
(2)多くの場合、海難事故死者の直接の死因となっている
(3)高レベルのDHMOにさらされることで植物の成長が阻害される
(4)末期癌の腫瘍細胞中にも必ず含まれている
(5)この物質によって火傷のような症状が起こることがあり、固体状態のDHMOに長時間触れていると皮膚の大規模な損傷を起こす
(6)多くの金属を腐食・劣化させる
(7)自動車のブレーキや電気系統の機能低下の原因ともなる
これらの事実をみれば規制したほうがいいと思いませんか?(1~7にうそはまったくありません)
これを見て規制すべきと思った方はトランス脂肪酸でも同じ勘違いをしていないかよくよく考えてみてください。
ちなみに DHMOとは 水のことです。
長長くなったけど、すっきりしたああああああああああ